第4章 青い夏
【諸伏side】
「これだから海は嫌なんだ」
ゼロが悪態をついた。
両手に焼きそばを抱えながら口を尖らせるその姿に思わず笑みが零れる。
女の子に囲まれてここまで嫌がるなんて、流石ゼロだ
萩原あたりならきっと大喜びだろうに
「まあまあ、無事焼きそばも買えたことだし、早くの所へ戻ろう!」
「絶対に遅いって怒られるな」
「だね」
一応、俺のパーカーを貸して、今いる場所から動くなと釘は刺した。
さっきからの方をチラチラ見てる男共にも睨みを聞かせてきたし、恐らく心配はないと思うが、ここまで時間を取られるのは想定外だったな
の元へ早く戻らなければ
「ねえ、さっきのお姉さんめっちゃかっこよかったね!」
「うん!しかも超スタイル良かったし、モデルとかやってるのかな」
すれ違う女の子達からそんな声が聞こえた
なんか、嫌な予感がする
「おいヒロ、あれ」
ゼロが驚きながら指をさす方向へ顔を向ける。
こういう、当たって欲しくない予感というものは何故にこうも当たってしまうんだろう