第32章 お食事
そしてその夜、
今日は佐藤も無事参加出来て、久しぶりのカラオケに私たちは大いにはしゃいでいた。
由美なんてもう何度目かの分からないほど運命のルーレットを回しているし、佐藤も佐藤でこの世であなたの愛を手に入れまくってる。
この2人、もっと他にレパートリーはないんだろうか。
「さぁて、盛り上がってきたところで〜さんのデートのお話を洗いざらい聞き出しタイムといきましょーー!!!」
なんだ、その地獄のような時間。
「聞き出すも何も、まじで期待してるようなこと何も無いからね?」
「でも、さんが男性と2人で食事なんて珍しいですよね」
「そうだそうだ!!絶対何かあるに決まってるぅ!!!」
「ちょっと由美うるさい」
「マイク持ちながら叫ばないで」
「さーせん」
しょぼんとしながらマイクを置き、佐藤と挟むように私の隣に座った由美。
「「で、本当のところどうなんです?」」
2人揃って身を乗り出してこないでよ。狭い。
「もう!何度も言うけど何もないから!!」
「でも私、前に蘭ちゃんから聞いちゃったんですよ。さんに最近いい感じの人がいるって」
「……それはまた別の話。てか、それも誤解だし」
「えぇっ!?さん何人男侍らせてるんですか!?」
「侍らせてないし、そもそもそんな人1人もいないから!」
その後も尋問は続き、どれほど時間が経ったのだろうか。カラオケ来たんだから歌えよ。
ただ、何を聞いてもそれらしい返答をしない私に2人は諦め始めていた。
「私、もうこういう話題は飽き飽きなんだけど。
女子高生はともかくさ、いい歳のあんたらまでこんな恋愛にキャッキャするのはどうなのよ」
「分かってないですねぇさん、この歳だからですよ!
考えても見てください。もしさんにこのまま彼氏が出来なかったら完全に婚期逃して天涯孤独ですよ」
「私たち、さんには幸せになってもらいたいんです」
すごく先輩思いな後輩ヅラしてるけど、結局はあんたら私をからかいたいだけでしょ。
「佐藤には高木くんがいるとして、、由美だって人のこと言えないでしょ?1個しか違わないんだから」
「あー、えーと、それなんすけど……」