第32章 お食事
そして、次なる新たな任務は沖矢さん基赤井さんとの食事のお店を探すこと。
正直、年下の大学院生との食事ならば多少リーズナブルなお店でも良いかと思っていたが、相手が年上でしかも凄腕FBI捜査官となれば話は別だ。それなりのお店を選ばなくては。
ただ、私のお財布との兼ね合いもあるので、いい塩梅の所があれば最適なんだが生憎私にそんなお店の知識は無い。
普段焼肉やら居酒屋ばっか行っているツケが回ってきたな。
どうしようか…、
悩みながら、庁内にある自販機で缶コーヒーを買おうとすると
「あ!さーん!」
賑やかな奴が私に気付いて駆け寄ってきた。
「あら由美、今戻り?」
「はい!パトロール終わったとこです」
「そうだ丁度良かった!
ねぇ、折り入って由美に相談したいことがあるんだけど」
「なんです?」
「年上の男の人と食事に行くのにいいお店知らない?
雰囲気はそれなりにいいけど、価格帯はまあまあなとこ」
「さん、そ、それって……」
「ん?」
「つ、つつつ、ついに、彼氏ですか!?デートですか!!?」
「はぁ?いや、違うから」
「だって!!年上の男性と2人っきりで食事なんてそりゃもう立派なデートでしょ!!相手は誰です?もしかして私の知ってる人ですか??同業者???部署は!?もしかして所轄とか!?」
「落ち着きなさいって。まじで違うから。
私がその人に粗相をしたから、そのお詫びの食事よ。
それに、多分由美の知らない人だし」
「今夜はカラオケで決まりですね。そこでゆっくりたっぷり聞かせてもらいます」
「あんた、今の話聞いてた?」
「あぁもちろんさんの奢りで!」
「聞く気無いわね。
はぁ…全くもう、しょうがないんだから」
「美和子にも声掛けてきまーす!
あっ!!前みたいにブッチしないで下さいよ!」
「はいはい、分かったって」
そうして流れるようにカラオケが決定し、嵐のように由美は去っていった。
何だかんだで、私後輩には甘いんだよな。