第4章 青い夏
私はガタッと勢いよく立ち上がって、これでもかと言うほど大きな声を発した。
食堂が一瞬シーンとなり、私一点に視線が集まる。
「その反応は一回やってる」
「遅れてるぞー」
「え、みんな知ってたの?!伊達に彼女がいるって」
「そっか、は丁度実家に帰ってる時だったもんね」
「まあ、驚くのも無理はないわな」
「そんなにか?」
いや、そんなにだろう。
たしかに、この5人の中じゃ1番男前なのは事実だ。
面倒見もいいし、実力も確か
同じ教場の仲間なら、男女問わず満場一致で伊達を選ぶだろう
だとしても!この老け顔ゴリラに彼女がいるなんて…!!
私はにはいないのにーー!!!
「伊達、今日から私はあんたを敵として認識する」
「て、敵?」
「夏にイチャつくカップルなんて爆発してしまえ」
「やばい、こいつ顔がガチだ」
「ちゃんどーどー」
羨ましいなこんちくしょう
私だって、この地獄のような日々の中に癒しが欲しい!!
「決めた、私、海でイケメンを捕まえる」
「は?」
「海で彼氏を作る」
「何言ってんだこいつ」
「お盆は忙しいんじゃないの?」
「父さんに言って意地でも1日空けるわ」
恐らく、今の私の目は今までに無いほど決意に満ち溢れているだろう。
「まあ何はともあれ、班長以外は揃ったことだしいっちょ夏を満喫しますか!」
「待ってろ私のハッピーライフ!!」
「僕の山は…」
「今度俺と行こう!ね、ゼロ」
「うん」