第31章 緋色の
「これでよしっ」
無事に録画予約を終え、私の任務は完了。
ふぅ、これで一安心………じゃない!!
これから沖矢さんの所に行かなきゃいけないんだよ!
ったく、全然安心なんてしてらんないっての。
少し早い気もするが、まぁ良いだろう。
それに、人様のお宅に車を停めさせてもらう訳にもいかないから、交通手段は電車だ。
早めに出て損する事は無い。
もう一度マカデミー賞が録画予約されていることを確認する。
そうして、その存在が忘れられていたであろう沖矢さんから借りたコートが入った紙袋を手に、自宅を後にした。
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相変わらずどデカいお屋敷を目の前にして、少し足が竦む。
ここに来るのは3回目か。
1回目はご飯をご馳走になった時。
スーパーで急に、しかも大分失礼な事を言われたから困惑したけど、あの時のビーフシチューとプリンは美味しかったな。
そういえば、お礼に私からも食事に誘うと言っておいて未だに連絡していない。
……こ、今度!食事はまた今度誘おう!
2回目は、ベルツリー急行で眠った私を沖矢さんが運んでくれた時だ。
そういえば、その時に失礼極まりないことをしたまままだ謝っていない。
……その事に関しても今度お詫びしよう!今日はちょっと無理がありそうだし。
冷静に考えて私、沖矢さんに対して色々不躾過ぎないか?
弱みを握る前に1度正式に謝罪をするべきかもしれない。
……いやいや、目の前まで来て弱気になってどうする!
今までのことは今までのこと、今日のことは今日のこと!
だって、私がこれから話をつけるのは沖矢昴じゃなくて赤井秀一なんだから!
訳の分からない御託を並べながらも、意を決してピンポーンと呼び鈴を鳴らす。
その数秒後、玄関の扉が開けられた。
「待ってたよ、さん」
「えっ……コ、コナンくん!?」
私を迎え入れたのは、あまりにも予想外な人物だった。
「な、何で君がここに?」
「後でちゃんと説明するよ。とりあえず中に入って」
本当にちゃんと説明されるのか?
若干疑いつつも、突っ立ってる訳にもいかないので言われた通りに中へお邪魔した。