第30章 お茶会
その後、ようやく戻って来れた私たちを待ち受けていたもの、それは……
「警部と先輩!!やっと帰ってきたぁぁ!
助けて下さいィィィ!!」
積み上げられた仕事の山だった。
「え、なに、どういう状況?」
「お2人がいない間にあっちこっちから書類やら捜査協力の要請がドバっと来たんですーーー!!」
現在フロア内はてんやわんや。
刑事課や生活安全課とは違ってうちはそこまで忙しくない部署のはずなのに、よりにもよって今日、しかも私たちがいない時に仕事が舞い込んで来るなんてついてなさすぎる。
案の定捌き切れず、部下たちはパニック。
病院で青柳と話した悪い想像が現実となってしまっていた。
「みんな、一旦落ち着いて。
とりあえず外部の案件は全部私がやるから、庁内で済む内輪の案件は青柳の指示に従って分担。
それでも無理そうだったら私のとこに持ってきて。いい?」
「了解です」
そうして全員で手分けして捌いていく。
説明した通り、私は英語やフランス語が必須なインターポールへの情報提供書類、ニューヨーク市警やロサンゼルス市警への要請受諾書、国内で犯罪を犯した在日外国人の強制送還書類の作成に当たった。
にしてもなんなんだこの量は…。
______
そして数時間後、
「終わったぁぁぁ!!」
今日中に終わらせなければいけない仕事は全て片付けた。
あの後、自分の担当分が終わっても部下たちが取りこぼしたものがあったため思っていた以上に時間がかかってしまった。
ちなみにその部下達はもう殆ど退勤している。
青柳も今日はさっさと帰した。一応怪我してたしね。
お陰でフロアには私1人だけだ。
時刻は午後10時を回るところ。
今から帰ってご飯食べて風呂に入って、多分1時には寝れる。
はぁ、早く帰って寝よ。
そう思いながら、ふと携帯でニュースサイトを開いた。
そしてまず目に止まったもの。それは…
『またも殺人事件発生!今度は病院で毒殺!!』
という記事。
おいおい、この現場の病院って今日行った杯戸病院じゃん。
記事には毛利探偵も居合わせたって書いてあるし…。
あっぶねぇまたまた殺人事件に巻き込まれるとこだった。
早めに帰って来て正解だな。
昨日の今日で殺人に関わるなんてごめんだ。