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【名探偵コナン】sangría

第30章 お茶会



「あのさ、寝ないんだったらちょっとだけ私の話に付き合ってくれない?」

「いいですけど」

「青柳ってさ、大切な人、いる?」

「…はい?」

「だからその、守りたい人というか、失いたくない人というか」

「そりゃまぁ、いますよ」

「えっ!?いるの!?」

「何ですかその反応。さんが聞いてきたんでしょ」

「いや〜、まさか青柳にそんな女がいたとは」

「女性とは限らないじゃないですか!」

「え、違うの?」

「……そうですけど」

「ほほ〜ん」

「何なんですか本当に…」

「ごめんごめん。
じゃあさ、もしその大切な人が危険なことをやってたらどうする?」

「そりゃ危険なら止めますよ」

「でも、その危険な事はその人にしか出来なくて、もしそれを放棄したらこの国が危ぶまれるとしたら?」

「……難しいすね」



なぜ急にこんな質問をしたのか。

もちろん『組織』について暴こうと決心した今、後戻りする気なんてさらさら無い。
でも少しだけ、他人からの後押しが欲しかった。
そんな甘い思考からだ。



青柳はしばらく考えた後、運転している私を真っ直ぐに見つめて口を開いた。


「さんはどうして欲しいですか?」

「…え?」

「だから、さんがその危険な使命を課されていたとしたら、相手にどうして欲しいですか?」


そんなこと、考えたことも無かった。
私が、ゼロの立場だったら……


「……関わらないで欲しいと思う。
犠牲になるのは、私一人で十分だから」

「…それはちょっと無理ですね」

「は?」

「いや、本人に聞いてその通りにしようと思ったんすけど、そんな願いなら聞き入れられないです。
さん一人を犠牲になんてさせない」

「……あの、私じゃなくて青柳の大切な人の話をしてるんだけど」

「……さんは、もう少し自分に向けられる感情に敏感になった方がいいと思います」

「なに、私が鈍感だって言いたいの?」

「ええその通りですよ!!全く……」


そうして青柳は窓の方へ顔を向けてしまった。

私、自分が鈍感なつもり無いんだけど。
元刑事ってこともあるし、勘は鋭いと思うんだけどな。


「刑事の勘とかそういう部類の話じゃないですからね」

エスパーかよ。
てか、じゃあ何の勘だよ。
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