第29章 桜と追憶
「1つにまとめたのよ、ジョディ。あるものを大量にね。
そして、それが怪しまれない場所に隠したの。ね?コナンくん」
「うん!
おめーら、あの3人から言われた事をもう一度思い出してみろよ」
「えーっと、おじいさんはおみくじのとこで話しかけてきたから…」
「そーいや、おみくじいっぱい結んであったから、ちょっとくらい増えてもわかんねぇんじゃねぇか?」
「でも、おみくじをどう束ねたって人を撲殺出来る凶器にはならないわよ?」
「所詮紙ですから」
「だったらあのおじさんかな?手を洗うところで元太くんが渡そうとした柄杓をいらないって言ってたし」
「そうですよ!あの手水舎には柄杓が沢山ありましたから!
あの中に鉄の柄がついた柄杓が混ざっていたとしたら……」
「とっくに警察が見つけてるでしょうね」
「で、ですよね」
「じゃあ、後は鈴を鳴らすところで会ったあのお姉さんだけど」
「鈴は2つしかなかったぞ?」
「おめーら、鈴を鳴らす前に何かしなかったか?」
「「「うーん……あーー!!お賽銭だ!!」」」
「そう、お賽銭は『ご縁がありますように』ってことで、その殆どが穴の空いた五円玉なんです。
その穴に針金や紐を通して沢山束ねれば、細長い棒の完成。
しかも、後で賽銭箱からその五円玉が大量に見つかったとしても他の賽銭に紛れて怪しまれず、細長い金属製の棒を探している警察の目を欺けるというわけ」
「し、しかしなぁ、それを30センチぐらいの棒にするには五円玉が200枚は必要だろう。
そんな大量の五円玉を投げ入れたら、目立って周りの人に怪しまれるんじゃないか?」
「だから犯人は子供たちに声をかけたんですよ。大きな音で鈴を鳴らさないと神様に聞こえない、と。
……そうですよね?その大きな鈴の音で大量の五円玉が賽銭箱にジャラジャラと入る音をかき消した、段野頼子さん。
あなたが、黒兵衛を殺害した犯人だ。
五円玉を束ねた紐の根元を解き紐の先をつまんで賽銭箱に垂らせば、大量の五円玉を一瞬にして投入出来ますしね。
しかも殺人事件が起きたのは、あなたが鈴を鳴らす前。
あの時既に被害者によって財布を掏られていたはずなのに、それに気付かず賽銭を入れて鈴を鳴らしたと偽っていたのがその証拠です」