第29章 桜と追憶
「さぁ、分からない。
だから先生に来てもらったんだよ。それをFBIに探って欲しくてね。彼の目的は達成されたはずなのに、なぜまだポアロに留まっているのかを。
それと、もう1つお願いがあるんだ。
もしさんから奴らの事を聞かれたとしても一切何も教えないで。あの人は、奴らに関わらせちゃいけない人だから。
……でも、バーボンにはさんの存在がバレてる」
「え!?それ、大丈夫なの?」
「多分…。奴はさんに何も仕掛けてこないから。
そこも探ってくれるとありがたい」
「分かったわ」
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2人が話している様子を遠目に眺める。
何話してるんだか。
……あ、そういえばこの間のベルツリー急行でのことをジョディに聞こうと思ってたんだった。
あの『バーボン』『諸星大』『組織』について。
もしかしたらFBIにならその情報があるかもしれないと睨んでいるのだ。
ジョディなら知っている事があれば教えてくれるはず。
沖矢さんやコナンくんと違って。
しょうがない、帰りにでも聞いてみるか。
そういえば、あのデパートでの一件以来ジョディから赤井さんの話題を聞かなくなったな。銀行強盗の事件の時に見たという、右の頬に火傷の跡がある赤井さんに似た男の話も。
……沖矢さんの正体が赤井さんだってこと、ジョディに話した方がいいのかな。
いや、でも物的証拠がある訳じゃない。あれは完全に私の勘だ。
そんなあやふやな状態で変に期待させるような事は言わない方がいいか。
……ん?待てよ?
じゃあ、ジョディが見た火傷の男は何だったんだ?
もし本物だとしたら、沖矢さんではなく赤井さんの姿で帝都銀行へ行ったということか?わざわざそんなことするか?
確かジョディは米花デパートでも同じ男を見たと言っていたな。
でも、あのデパートには沖矢さん本人がいた。
え、どういうこと?
確かその時、沖矢さんとコナンくんが興味深い会話をしていたんだったな。