第3章 ちゃんと見て
「どうしてっかなー」
「ちゃんとお父さんと話せてたらいいね」
「のことだ。心配はいらないだろ」
「でも、1週間は長いよね〜。俺寂しくなっちゃう」
「お前が送り出したようなものだろ」
「とか言って、降谷ちゃんも寂しいんじゃないの?」
「うるさいな」
明日から始まる試験に向けて校内が緊張感に包まれる中、彼らは今日も変わらず食堂にて昼食を食べていた。
1つだけ空席を作って。
「にしてもあいつ、試験の方は大丈夫なのか?」
「なんか、事情が事情だから、特例で別日に受けるらしいよ」
「それもそうだけど、試験前の1週間何もしてないとか、俺だったら絶対にやばいわ」
「は、萩原と違って要領いいから大丈夫だろ」
「なんか降谷ちゃん、最近俺に冷たくない?」
「そうだよな!萩原と違って」
「言えてるね」
「班長と諸伏ちゃんまで!」
の特例休暇は1週間設けられている。
それが丁度試験期間と被るため、戻ってきてから別で受けることが許可されていた。
だとしても、試験前の1週間に授業を受けられないことに変わりはない。厳しい状況ではあるが、そこはの技量次第であろう。
「隙ありっ」
「あ!僕のプチトマト!」
「ぼーっとしてる方が悪ぃんだよ」
「松田、後で表に出ろ」
「まあまあゼロ、ほら、僕のあげるから」
「相変わらず、諸伏ちゃんは降谷ちゃんに甘々だねぇ」
「ほら、ご飯中なんだから喧嘩すんなよ。
また教官にどつかれるぞ」
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そうして1週間が経ち、私はようやく警察学校に戻ってくることが出来た。
休暇とはいえ、母の葬儀やら墓の手配やらで休む暇なんて与えられず、早々と日々は過ぎ去った。
父さんとはあの日から和解することが出来、月に1度電話で連絡することを約束した。
正直、父さん1人を実家に残すことに不安を感じていたが、そんなことは気にしないで自分のことを考えなさいと言って最後の日には笑顔で送り出してくれた。
1週間前と同じ旅路に、1週間前とは真逆の気持ちで就く。
戻るんだ、私の大切な居場所に
そして、戻った先で本当に待っていたのは
大量のテストであった