第28章 人魚
「どこで俺の正体に気付いたんだ?」
「切っ掛けはさっき言った磁石。
蘭が携帯を開いた時、1番傍にいたのはおめぇだったからな。
あの時おめぇ、左手に磁石を握ってたんだろ?
ま、おめぇが最初に次郎吉のじぃさんの頬をつねったり、ボディチェックを組になってやろうと提案しなければこのトリックは成立しねぇし、最もそのお陰でおめぇがキッドだと確信したんだけどな」
「あ?体型は大して変わんねぇんじゃ」
「あらやだ、怪盗キッドくん?
君、大きな勘違いをしてるわよ。
ちゃんと考えてみなさい、なぜ園子さんが私とあなたの2人でボディチェックをするように言ったのか」
「……おいおい、まさか!こいつ女の子だったのかよ!?」
「ピンポーン!
ま、この間のベルツリー急行でお世話になったし」
「おめぇ今回は何も盗んでないから、今日は見逃してやるよ」
「「私/俺達はね?」」
そう言って、私とコナンくんはニコニコ笑った。
これから起こるであろうことを想像しながら。
すると、廊下の向こうから「うおぉぉぉ!!」という声とダッダッダッという足音が聞こえてきた。
そしてその音の主である本物の世良さんが、キッドの顔面に飛び蹴りを食らわす。
見事に顔面から吹っ飛ぶキッド。
…この子、人の顔面吹っ飛ばすの好きだなー。
「てめぇ、よくもボクにスタンガンを…!!」
そう叫んで臨戦態勢を取っている。
ちなみに世良さんは上下共に下着のままだ。
「ちょっと世良さん!下着下着!!」
「丸見えよん!」
その後ろから、蘭さんと園子さんが毛布を持って追いかけて来た。
それと同時にボンッ!!と煙幕を爆破させて、怪盗キッドは窓から闇夜に消えていったのだった。
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「あっはは!本当に災難だったわよね!」
「笑い事じゃねぇってーの!あの飛び蹴りまじで痛かったんだからな!」
ブラッシュマーメイドの展示から数日後、私は快斗くんと焼肉に来ていた。
ちなみに、目の前に座る快斗くんの顔面は未だ絆創膏が貼ってある。
「まぁまぁ、ありゃ蹴られても仕方ないわよ」
「はぁ、まさか女の子だったとはな。
…おい、なら何で男子トイレにいたんだよ!」
「あぁ、なんか女子トイレが混んでたからだって。
見た目が男の子みたいだから、早く済ませたい時によくやるらしいわよ?」