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【名探偵コナン】sangría

第28章 人魚



「それにしてもすごい賑わいね!さすがキッド様人気♡」
「わっ!ガラスケースの周り人がいっぱい…!」


会場内へ来ると、様々な展示品がある中と人混みの中に目を張る大きなガラスケースが鎮座していた。


「ん?あれって…水槽?」


そう、客が大勢で囲んでいたガラスケースの中には水が張ってあり、これまた見事に大きな水槽であった。


「そうじゃ、彼奴が狙っておるのは…、
この亀が背に纏っておるレッド・ダイヤモンド、
『ブラッシュマーメイド』じゃよ!!」


水槽の中では、相談役の言う通り背に赤い宝石を付けた亀が泳いでいた。
宝石が埋め込まれた金のネックレスごとくっ付いており、腹部にもたくさんのダイヤモンドが付いている。


「こんな10センチぐらいのデコった亀を、ベルツリー急行の一等車で展示しようとしてたわけ?」

「そうじゃ!水槽は硬質ガラス、奥は厚さ2メートルのコンクリートの壁!
天井と両脇は特殊合金の金網!しかも獲物は水中を泳ぎ回るとなると、いかな月下の奇術師でも盗られやせんと思ってのォ!」


恐ろしく悪趣味だな相談役。
動物愛護団体が乗り込んできそうだ。


「実はこの亀、曰く付きでのォ、知っておるじゃろ?半年前に海難事故に遭って亡くなったイタリアの大女優を。
これは彼女が飼っていた亀の『ポセイドン』だと言われておるんじゃよ!ブラッシュマーメイドの所有者は彼女じゃったしな。
船が沈む前にこの亀だけは助け、誰かに引き取ってもらおうと思い必死に接着剤で付けたという話じゃ!お礼と飼育代を兼ねてのォ」


なーんだか胡散臭い話だな……


「鑑定はしてもらったんですか?」

「ああ、じゃが鑑定士が鑑定中に亀に指を噛まれてしまってな…。
まぁ亀は5月から11月にかけて脱皮するそうじゃから、本当は脱皮で自然に剥がれた宝石の鑑定を待ってから買うつもりだったが、待ちきれなくてなぁ」


あーなるほど、宝石が亀の背中にある期間中にキッドと勝負したかったという訳か。
……大丈夫なのか?その宝石。



『おい!観覧の時間は終了だ!!関係者以外はこの部屋から退出しろォ!!
グズグズするなァ!出てけェ!!』


背後で中森警部がメガフォンを使って叫んだ。
今日も相変わらず気合い入ってんなぁ。
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