第28章 人魚
「あの後どうだったんですか!?」
「もしかして超進展しちゃったり!?」
腕が解放されたと思ったら、今度はニヤニヤ顔で詰められる。
「え、何のこと?」
「だーかーらー!テニスの後ですよ!!安室さんに送って貰ってたじゃないですか!!」
「やっぱりお2人は何かあるんですよね!」
あーーその事かーー。すっかり忘れてた。
相変わらずのキラキラした目で見つめてくる女子高生達。
うーん、どうしようか。
「いや、普通に家まで送ってもらっただけよ?何も無いわ」
「車で2人ですよ!しかも伊豆高原から東京までは何時間も掛かるし!!何も無いなんておかしい!!」
「そ、そう言われましても…」
確かに、一般的に見れば異様な状況だな。
ほぼ初対面の男女が何時間も密室で2人だなんて。
でも、ただただ思い出話に花を咲かせてただけだからなぁ。
「少なくとも、安室さんはさんに気があると思います!
だって、そうじゃなきゃ家まで送るなんて言いませんし!」
「それにさんのこと、初めて会った時から綺麗な人だなって思ってたって言ってたじゃない!!」
「いや、あれは……」
からかっただけでしょ。
と言いかけて、あの日最後に言われたことを思い出した。
___『、さっき伊豆高原で言ったこと本当だからな。
その、初めて会った時から綺麗だなって思ったってやつ』___
あんなこと、はじめて言われた。
あの時同様頬が熱くなるのを感じる。
「さん、ほっぺ赤くなった!」
「へっ!?いや、あの、これは……」
大の大人があんな一言で頬を赤らめるだなんて恥ずかしい。
初心かよっ!!
「と、とにかくっ!!安室さんとは何も無かったから!!
これ以上は詮索しないでちょうだい!」
私が声を張り上げると、やはりニヤニヤ顔の2人。
女子高生怖いって。
「ほら、コナンくんと世良さんのとこに戻りましょ?待たせてるんだから」
「「はーい」」
「おお!来たか史郎んトコの娘っ子!」
「あぁ!おじ様!」
随分お待たせした2人の元へ帰ると、私達に気付いた相談役がやってきてそのまま会場内へ案内して下さった。
中は数多の人でごった返している。