第28章 人魚
某日、
私は鈴木次郎吉相談役が所有する展示会場に来ていた。
なんでも、ベルツリー急行に展示予定だった例の宝石“ブラッシュマーメイド”がここに展示されるんだとか。
本当は、ベルツリー急行爆破事件が解決するまでは展示を見送っていたらしいのだが、鈴木次郎吉相談役の強い希望で今日からその公開が行われるそうだ。
怪盗キッドからの予告状も既に届いているらしい。
そして、ベルツリー急行の二の舞にならないよう爆発物が無いか警察による入念なチェックが行われている。
「あら、蘭さんコナンくん園子さんお揃いで!こんにちは」
「どうも!」「こんにちはー」
「さんも来てたのね!」
「ええ、キッドファンとして見逃せないからね」
「あら、さんもすっかりキッド様の虜ね♡」
「まぁね!」
会場にはいつも通りの3人が揃っていた。
コナンくんはキッドキラーだからね。恐らく相談役に招待されたんだろう。
こりゃ今回もキッドにとっては手強いものになりそうだな。
そういえば、1人見ない顔の人がいる。
「ところで、そちらの方は?」
「あぁ、この子はベルツリー急行でお話した……」
「世良真純だ!」
「あぁ、あなたが!
よ」
この子が、コナンくん誘拐の際にバイクで犯人の顔面をぶん殴り、ベルツリー急行でコナンくんと謎解きをしたというあの世良さんか。
なーんか既視感ある顔だな……。
そう思いながらじーと世良さんの顔を見ていると、それに気付いてニコッと笑った。
「こう見えても、ボクは女だから!そこんとこよろしくな!」
「あっ、ええ!もちろん存じてるわよ!」
しまった、そういう意味で見てたんじゃないんだけどな。
ま、服装も相まって見た目は完全に男の子だけど。
でもとっても似合ってて素敵だと思う。
「さん、ちょっと!」」
「ん?………えっ、な、何っ!?」
すると、突然蘭さんと園子さんに両腕を掴まれて少し離れた場所まで連行された。
残されたコナンくんと世良さんはは戸惑いながら連れて行かれる私を眺めて首を傾げている。
見てないで助けてよ!!