第27章 侮れない
「あぁ大丈夫、自分で取るから」
そうしては自分のスーツの袖へ手をやる。
「ゴミって、これのこと?」
その手にあるものは、正しくコナンが仕掛けた盗聴器。
緊張の汗が一気に流れてくる。
「これって、盗聴器かしら?小型すぎて、普通なら気付かないわね」
手にあるそれをまじまじと見つめる。
コナンは何も返すことが出来なかった。
「で、これなら私が気付かないと思ったんだ?
……はっ、舐められたものね」
そうしては真っ直ぐにコナンの目を見つめると、続けて淡々と口を開いた。
「探る相手はちゃんと選びなさい。場合によっては、あなたの命が危なかったかもしれないんだから。
それに、3日間も盗聴されて正直不愉快よ」
そう話すの目は、子供を諭すように真剣なものだった。
その目を見て、ゴクリと唾を飲む。
しかし、そんなコナンの様子を見てはふふっと笑いだした。
思わぬの態度に拍子抜けするコナン。
「ま、私もあの時コナンくんに失礼なことをしてしまったから、これはおあいこね?」
そうして固まったままのコナンの頭を撫でる。
「君とは仲良くしたいのよ。だって君は、私を救ってくれた騎士なんだから。
あ、でも盗聴はもうしちゃダメよ?犯罪ではないとしても、やられて気持ちがいい人なんていないんだから!」
「ご、ごめんなさい…」
「ねぇ、この盗聴器ってまさか阿笠さんが作ったの?」
「えっ、う、うん」
「すごいわね!こんなに小型に出来るなんて!
しかもこれ発信器も内蔵されてるでしょ?
ぜひ1つ欲しいくらいだわ!
あ、でも今盗聴はダメって言ったばかりね。忘れてちょうだい」
さっきの真剣な目から打って変わって、いつも通りに戻った。
そんな彼女を見て、コナンは改めて警視庁が誇る人材のすごさを思い知ったのだった。
「……やっぱこの人、侮れねぇな」
「ん?コナンくんなんか言った?」
「えっ!?い、いや、なんでも!!」
「そう?じゃ、気をつけて帰るのよ」
「はーい!」
そうして2人は別れた。