第27章 侮れない
見ると、ぶつかった相手は以前どこかで会ったことがある人物だった。
「えっと……あ!前にさんといた人だ!」
「部下の青柳だよ。で、どうして君はこんな所に?」
「あのさ、さんってどこにいる?」
質問に質問で返すコナン。
もちろん、青柳の問に答えるつもりは毛頭ない。
「え?さんなら……」
「ちょっと、何やってんの青柳?そんなとこにしゃがんで……って、コナンくん!!なんで警視庁にいるの?」
噂をすれば…と言うやつか。
青柳の背後から、正に探していた人物が現れた。
「ちょっと忘れ物を取りに来たんだ!
けど、案内してくれてた高木刑事とはぐれちゃって……」
「そうなのね。
高木くんなら、刑事部のフロアかしら?
連れてってあげるから一緒に行きましょう」
「うん!」
そうして再びエレベーターに乗り込んだコナン、そして。
いつもなら色々話しているであろう2人だが、今は何の会話もない。
コナンは疑いから、は未だにあの件について謝れていないことから、少し気まずい雰囲気が流れていた。
「あれ、さん?袖のとこゴミついてるよ。
ボクが取ってあげるね!」
コナンは、いつも通りの手法で超小型盗聴器兼発信器を取り付けた。
「あら、ありがとう」
は気付いていない様子だ。
そのまま刑事部のフロアまで来ると、「コナンくーん!どこだーい!!」と焦りに焦っている高木刑事がフロア内を駆け釣り回っていた。
「高木くーん?コナンくん連れてきたわよー」
「さん!?す、すみません、僕が目を離した隙に…」
「色々見てみたくなっちゃってさ!ごめんね高木刑事」
「全く君は……。
ところで、ヤイバーカードは見つけたのかい?」
「うん!トイレのとこに置きっぱなしだった!」
「そうか!見つかって良かったよ。
じゃあ帰ろうか。下まで送るから」
「うん!さんバイバイ!」
「ええ。またね、コナンくん」
は意味深に笑いながら手を振り返した。