第26章 スペシャルコーチ
「そうそう、あと私たちのラケットのグリップテープ巻き直してあげるって言われて、真知さんに預けたわね!」
「うん!真知さん、テニス店の店長の娘さんみたいで、ついでにラケットのガットも張り替えて下さったんです!」
ふーん。
ごみ捨てに、凍ったペットボトルに、ラケットの手入れか……
その後の捜査で、車の中に載せられていたゴミの中に鍵らしきものは見つからなかったとのこと。
また、冷凍庫に入っていたスポーツドリンクもカチコチにに凍っていてとても中に鍵が入っているとは思えないそう。
全員のラケットも調べたが、鍵のようなものはどこにもなかったという。
遺体の下にあったラケットを調べると、ガットが数箇所歪んでいたと鑑識から報告があったらしい。
それと、血の付着した銅製の花瓶の形と遺体頭部の傷は一致したのだが、なぜか花瓶の中に水が入っていたんだとか。
「ボウズ、お前犯人見てねーのかよ?
ずっと部屋ん中にいたんだろ?」
「ぐっすり寝てたから…」
「じゃあ私と園子があの部屋に冷やし中華を持ってったのも覚えてないよね?」
「うん、寝てたと思う」
「そーいえば蘭、あの時妙なこと言ってたわよね?『この部屋、クーラー効いてるみたい』って。何でそんなことわかったの?」
「だって、足の指先がひんやり涼しかったもの!扉の下って隙間があるから、きっとそこから冷気が漏れ出てたんだと思うよ!」
確か、真知さんも同じようなことを言っていたな。
でも、部屋にクーラーはついていなくてすごく暑かったってコナンくんは言ってたし…。
……っ!!
なるほど、そういう事か!
「も気付いたか」
「ええ。
犯人は、形を留めない物質を巧みに利用して密室を完成させたってことね」
「ああ。
雪の中で息絶えた、仲間の無念を晴らすためにな」
私と安室さんが気付いたってことは、コナンくんももう分かってるだろうな。
毛利さんは……どうなんだろ?
でもきっと、待ってたらあの推理ショーが始まるだろう。
「ん?何してるんだい?コナン君」
「うぇっ!?う、腕時計のフタが壊れちゃって……あはは」
その時、ゼロとコナンくんが何やら不思議な会話をしていた。