第26章 スペシャルコーチ
「何ィ!?密室殺人だと!?
んなわけあるか!だいたい密室を作るような知能犯が、そんなバレる犯行をするわけがないだろ」
説明するコナンくんを毛利さんが否定した。
あれ、毛利さんも既に気付いていると思ってたんだけど。
「それは、犯人にとって2つの大きな計算違いが生じたからではないでしょうか?
1つ目は、コナンくんが部屋の中で毛布に包まって寝ていた事」
「もう1つは、鍵の掛けられたその扉を安室さんが“いつの間にか会得したピッキング”で開けてしまった事。
この2つがなければ中々部屋から出てこない石栗さんを、隣の部屋のベランダを伝って発見し、呼んだ警察が窓を破り部屋の中に入る頃には、この暑さですから血が乾いていたとしても不自然ではありません」
「たとえ発見した直後に誰かが窓を破って入ったとしても、注目されるのは血の乾き具合よりも石栗さんの生死のみ。
後で来る警察には頭から血を流して扉の前に倒れていたと伝えるだけでしょうから、お手柄だねコナン君!」
安室さんと私が順々に説明をした。
それを呆気に取られながら見つめる毛利さんと刑事たち。
「とにかく、元々この別荘に来ていた3人に事情聴取をしましょう。
殺人の動機がありそうなのは、その3人だけでしょうしね」
そうして、3人別々で事情聴取が行われた。
まず初めは桃園琴音さん。
「ええ、石栗くんの部屋には行きました。昼食の冷やし中華を本当に食べないかを聞きに」
「彼はその時部屋にいたんですか?」
「はい、やっぱり昨夜の残りのアイスケーキがあるからいいって言ってました。
だからそのままキッチンに戻りましたけど…」
その後は、シャワーを浴びて蘭さんと園子さんとずっと一緒にいたらしい。
しばらくしてから、梅島さんと一緒にもう一度石栗さんの部屋に様子を見に行ったそうだ。
「ちなみに、石栗さんの部屋の合い鍵はいつなくなったんです?」
「昨夜だと思います。私の部屋の机の引き出しに入れてたんですけど、気がついたらなくなってて…」
「なるほど」