第26章 スペシャルコーチ
そうして迎えた約束の日。
私は毛利さんが運転する車に一緒に乗せて貰いながら、園子さんの別荘がある伊豆高原へと向かっていた。
もちろんコナンくんも一緒にいるわけで、あの日以来1度も会っていなかったため少し気まずい。
でも、後でちゃんと謝らなきゃな。
「いやぁ、悪いねぇ!!
ベルツリー急行で散々な目に遭わせてしまった埋め合わせに、伊豆高原の別荘に招待してくれるとは!」
毛利さんが運転しながらニコニコでそう言った。
「しかも私までご一緒させてくれるなんて、本当に大丈夫だった?」
「いえいえ全然!正直、埋め合わせってのはついでですから!
実は、私のテニスの特訓をしに行くんですよ!」
「特訓って、園子大会近かったっけ?」
「大会よりもビッグなイベントが舞い込んで来ちゃったんだから!」
そう言って園子さんが取り出した携帯には、色黒のイケメンからのビデオメールがあった。
何でも、今度園子さんとお手合わせしたいとか。
「園子ったら、これって京極さんからのテニスデートのお誘いじゃない!!」
「そーなのよ!真さんと2人っきりのテニスコートでラブラブよん♡」
「えっ!?それって園子さんの彼氏さん?
かっこいいわねぇ」
「えへへ」
照れながら頬を掻く園子さん。
高校生可愛いな。
「で、でも特訓って、私もお父さんも園子に教える程うまくないよ?」
「わ、私もそこまでじゃ…」
「その点は大丈夫!ね!小五郎おじ様♡」
「おう!丁度いいスペシャルコーチをゲットしたからな!」
「さんも、楽しみにしてて下さいね♡」
「ん?え、ええ」
スペシャルコーチねぇ。
……待てよ、まさか。
いや、そんなわけ無いさきっと。
パゴッ!!!
バビュンッ!!!
私とコナンくんの横を、物凄い勢いでボールが過ぎていった。
殺人サーブだ…。
その時、とある記憶がフラッシュバックしてきた。