第26章 スペシャルコーチ
翌日、
「おバカっ!!!!」
完全に忘れてた、青柳のこと。
今私は正座をさせられながらお叱りを受けている。
「なんであの時勝手に電話を切ったんすか!!!
その後何度電話しても出なかったから心配したんですよ!!
どこにいるか何をしてるかもこっちは分からなかったってのに、よりによってあの爆発事故があったベルツリー急行に乗ってただなんて!!
もう、どんっだけ心配かければ気が済むんすか!!
バカ!!!」
「ご、ごめんなさい」
バカって言われた。
部下にバカって言われた。2回も。
「はぁ、でもまあ怪我も無く無事だったんでいいですけど、突然仕事丸投げされたこっちの身にもなって下さい」
「はい」
「休む時はちゃんと言ってください。
“ほうれんそう”です。社会人の基本でしょ」
「はい」
「もういいです。
さんの確認待ちの書類がわんさか溜まってるんで、早く捌いちゃって下さい。
あと、追加でICPOからの案件もお願いします。
それと愛知県警からの捜査報告書もまとめて警察庁に提出しろだそうです。
心配させた分、きっちり働いてもらいますから」
「はい」
そうしてお説教は終わった。
青柳、怒ると怖いんだよな。
こりゃ、ポアロに行けるのはいつになることやら。
3日後、
今日こそ、今日こそポアロに行ってやる。
なんなら午後から仕事バックれてやる。
ふんすッ!と鼻息を荒くして、私はお昼休みが訪れるのを待っていた。
そして、12時を知らせる音が鳴り響く。
「じゃ、私行ってきます」
荷物を持って勢いよく飛び出した。
青柳に見つかったらアウトだから慎重に。
「あれ警部、どちらに行かれるんですか?」
新人に捕まってしまった。
「あ、いや、ちょっと色々あってね!はは!
……青柳には腹痛で早退したって言っといてくんない?」
「えぇー嫌ですよ。青柳先輩、警部のことになると怖いんですもん」
「これは警部命令よ!!じゃ、私行くから!」
そうして私は風のようにその場を去った。
「……職権乱用」
どんまい新人。