第25章 ミステリートレイン
「…さん?」
一向に動かない私を不自然に思ったのか、コナンくんが私の名前を呼んだ。
「…何を、言っているの……?」
「えっ、」
「…なんで…みんな、私から……奪うの……」
「さん、大丈夫ですか?」
沖矢さんが私の腕を掴もうとする。
「っ、触らないで!!!」
それを勢いよく振り払った。
「…何も、知らないくせに……!!
私が、今までどんな思いで……!
…やっと、やっと見つけたのに……!」
溢れてきて止まらない。
なぜ、なぜなの?
なんでみんな、私が守りたいと思うものの邪魔をするの?奪おうとするの?
大切な人を守りたいと思うのは、そんなにいけないことなの?
「さん……?」
ダメだ、ここにいては。
「すみません、お邪魔しました」
「っ!?さんっ!!」
コナンくんの叫び声を背に、私は工藤邸を飛び出した。
落ち着こう。
家に帰って、お風呂に入って、ご飯を食べて、ゆっくり休もう。
そして、ぐちゃぐちゃになった頭を整理しよう。
私はタクシーを捕まえて、すぐさま自宅へ向かった。