第25章 ミステリートレイン
そうして5号車から6号車へと足を進めると、丁度6号車の部屋に戻ってきたらしい蘭さんと園子さんと子供たちと鉢合わせた。
この子達までいるんか。
殺人事件現場には誰かしらいなきゃいけない決まりでもあんのか?
ていうか、今日は勢揃いだし。
「あれ、さん!
さんもこの列車に乗ってたんですね!」
「ええ、蘭さんこんにちは」
「さんだぁ!!」
「この間ぶりです!」
「の姉ちゃんも乗ってたのかよ!」
「みんなもこんにちは!ちょっと色々あってね。
あれ、コナンくんは?」
「ガキンチョなら、おじ様達と一緒に事件に首突っ込んでますよ。
いつもみたいに」
「あはは、そりゃコナンくんだものね」
相変わらずのようだ。
全く、本当に事件に巻き込まれがちなんだから。
「そうそうさん!実はさっき、めっちゃイケメンにあったんですよ!!」
興奮気味にそう話す園子さん。
「へぇー、どんな人だったの?」
「あぁ、安室さんです。
あの人もこの列車に乗ってて、ついさっきお会いしたんですよ」
そう蘭さんが教えてくれた。
「……へぇ、安室さんが」
ーー…ビンゴ
やっぱり、この列車にあいつは乗っている。
そして、きっとこの列車で何かが起こるのだろう。
「なぁーんだ、さん知り合いだったの」
「前に事件で少しね。
彼、どこの部屋だか知ってる?」
「それは分かりませんけど、多分今8号車にいると思いますよ!
お父さんと一緒に事件を解きに行ったんじゃないかな?」
「ありがとう、私も8号車に向かうわね」
「あ、はい!」
じゃあ、と言って彼女らの横を通り過ぎようとした時
「ダメ!!!」
突然、哀ちゃんが私の腕を掴んで叫んだ。
「行っちゃダメ!!」
「え、でも……」
「お願い、一緒にいて……!」
震える手と瞳でそう訴えられる。
「お姉ちゃん……」と、消え入りそうな声で哀ちゃんはそう零した。
「…うん、わかった。一緒にいましょ!」
ただならぬ様子の哀ちゃんを放っておけるわけもなく、私は彼女の手を握って了承した。