第24章 パスリング
でも、どうやって乗り込もうか。
パスリング無しではまず無理だろう。
でも、予約申し込みの期限はもう過ぎてしまっている。
青柳にどうにかさせるか?
いや、さすがに無茶か。
うーん……、
と唸っていると、つけていたテレビがとあるニュースを流しだした。
『怪盗キッドが、またしても鈴木次郎吉相談役に挑戦状を叩き付けたようです。
今回キッドが狙う宝石は“赤面の人魚(ブラッシュマーメイド)”。
鈴木次郎吉相談役は、来月この宝石をあのベルツリー急行の一等車に展示すると発表されました。
ベルツリー急行と言いますと、ミステリーファンの間では有名な列車なんですよね?』
『そうなんですよ。
通称ミステリートレイン。
あのオリエント急行を彷彿とさせるまるで蒸気機関車のような見た目で、車内では様々な推理クイズが行われるんです。
私も一度乗車したことがあるんですけど、鈴木財閥が誇るということもあって内装もとても豪華でしたよ。
いや〜今年はキッドが来るということもあって、さらに予約が殺到したそうですね』
『怪盗キッド初の走る展示会場ですからね。
キッドファンだけでなく様々なファンから期待が寄せられているようです。
それでは、次のニュースへ……』
へへっ、いいこと聞いちゃった。
そうして私は、とある人物へ電話をした。