第24章 パスリング
「…さん、もしかして安室さんのこと気になってたりします?」
「……へっ?」
梓さんの唐突な質問に、思わず変な声が出てしまった。
「だって!安室さんがペアリング持ってたって私が言ってからぼーっと何かを考えてたみたいですし、それに安室さんのシフトを私に聞くなんて不自然です!
さんは安室さんのことどう思ってるんですか!!」
名探偵ばりの推理を披露する梓さん。
残念ながら、その推理はミリも掠っていないんだが…。
でも確かに、少し不自然な行動だったかもしれない。
どうやって誤魔化そう……。
「い、いや、気になってると言いますか、その……」
「正直に言ってください!!安室さんのこと、どう思ってるんですか!!!」
梓さんは目をキラキラさせながらこちらに身を乗り出してきた。
「……か、顔がタイプだなーって」
「やっぱり!!」
「あ、あはは」
諦めた。
これ以上変なことを言ってもややこしくなるだけだろう。
ここは梓さんの言う通りにしておくのが無難だ。
「あっ、でもこのこと本人には絶っ対言わないで下さいね!!」
「へ〜僕の顔がタイプなんですか〜」とか言って、からかわれるのがオチだ。
誤解が無いように言おう、断じてそんなことは無い。
「勿論ですって!!私、応援しますね!
それに私、安室さんとさんお似合いだな〜って思ってたんですよ!2人ともすごくお顔が整ってますし!」
「あはは、そりゃどうも」
なーんか面倒臭いことになってる気がするが、もう知らん。
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「送ってくれてありがとうございました」
「いいえ、また何かあったら言ってください。
車を出すくらいならいつでもウェルカムなので!」
そう言って車を出そうとする私に手を振る梓さん。
「またいつでも来てくださいね!
次は安室さんがいる時に!!」
「あ、はーい」
私も笑顔で手を振り返して、空返事をする。
そうして、車で帰路に着いた。