• テキストサイズ

【名探偵コナン】sangría

第21章 ポアロ



そういえば、さっきからキッチンで調理をしているのは女性ではなく彼。


「…あの〜」

「はい、どうしました?」

「つかぬ事をお伺いするんですが、あのハムサンドってもしかして安室さんが作られるんですか?」

「はい!実はあのハムサンド、安室さん考案なんです。
常連さんたちにも大好評なんですよ!
他にも色々新メニューを生み出してて、どれもすごく美味しいんです!」




まーじか。

1回だけこいつが料理する姿を見たことがあるが、あの時包丁を逆手に握ったことだけは未だに忘れられない。
『ほらゼロ!!猫の手にゃんにゃんだってば!』と何度ヒロの声を聞いたことか。
傍から見ていた私でさえ恐怖を覚える包丁捌きだったのに。
その時、料理なら私がの方が上だ!と思ってたのに。
こいつ料理まで習得したんか。

いや、まだ分からない。
あの時だって丸焦げのダークマターを差し出しながら「…ハンバーグだ」と言っていたんだから。
ハムサンドと見せかけて未知の物質を生成しているかもしれない。
覚悟しておかなければ。





「お待たせしました、ハムサンドです!」


女性が持ってきてくれたハムサンドは、彩り豊かでとても美味しそうだった。


「何度もごめんなさい。これ、安室さんが作ったんですよね?」

「はい!」


そうだ、事実は覆ることは無い。

恐る恐るサンドイッチを一切れ口に運ぶ。
パクッと一口。



「………美味しい…」


思わず零れたその一言。
やばい、今まで食べたどのサンドイッチよりも美味しい。
めっちゃ美味しい。

そして二切れ三切れと食べていき、あっという間にハムサンドは私のお腹へ消えていった。


「いかがでした?当店自慢のハムサンドは!」

「……すごく美味しかったです」

噛み締めながらそう言った私を見て、とても嬉しそうな彼女。

疑って悪かった。
これは、正真正銘料理まで習得したんだな。
ちっ、あいつの唯一の弱点が……。










そうして、再びアイスコーヒーを飲んでいると、カウンターの向こうで2人が話していた。


「梓さんはもう上がっていただいて大丈夫ですよ」

「え、でも…」

「お客さんはこの方1人ですし、締めは僕一人で出来ますから」

「そうですか?じゃあ、お先に失礼しますね!」


そんな会話をして、女性はバックヤードへと姿を消した。
/ 532ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp