第21章 ポアロ
急いで車を走らせて、近くのパーキングへ停める。
そこから歩いてすぐの場所に毛利探偵事務所があり、その下には喫茶ポアロ。
私は今日、そこへ行くために早々と仕事を終わらせてきたんだ。
閉店は午後6時とコナンくんから聞いている。
まだ間に合うはず。
と思ってお店まで早足で歩いていると、エプロンをした若い女性が表の立て看板を中へ閉まっていいるところだった。
「あ、あの」
声を掛けると、その女性はこちらを見て「はい」と愛想良く答えてくれた。
「閉店時間が6時と聞いて伺ったんですけど、まだ大丈夫ですか?」
「あ、はい!今日は客足が少なかったので早めに閉めようと思ったんですけど、閉店まではまだ時間があるので全然大丈夫です!」
恐る恐る聞いてみると、女性は可愛らしい笑顔でそう答えてくれた。
多分、ここの店員さんなのだろう。
「どうぞ〜!」とドアを開けてくれた彼女に会釈をして店内へ入る。
カランカランとドアベルがなった。
「安室さん!お客さんです!」
「はい!いらっしゃいま……、」
こちらを振り向きながらそう言った彼は、私の顔を見た瞬間止まった。
「昨日はどうも、安室透さん」
そう笑いかけると、困惑した表情のまま固まっている。
そんな私達を不思議そうに眺める女性。
「安室さん、お知り合いですか?」
「え、ええまあ、昨日の事件で少し…」
「え、じ、事件!?」
「私、こう見えて警察官なんです。昨日は色々ありまして。
その節は、安室さんにもお世話になりました」
警察という言葉に、少し体を強ばらせた様子の女性。
「あ、いや!でも今日はコナンくんに素敵な喫茶店があるっておすすめされて来ただけなので、仕事とは無関係です!」
「あ、そうなんですね!良かった〜」
やはり、警察と言われると怖いイメージは拭えないものなんだな。
あからさまに安堵している彼女に微笑んだ。
この女性、表情がコロコロ変わってとっても可愛らしい。
「他にお客さんもいないので、お好きなお席どうぞ〜」
そう言われたので、キッチンに立っている安室さんがよく見えるカウンターの席に座らせてもらった。