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【名探偵コナン】sangría

第20章 夜想曲(ノクターン)



「何があったのかは、この後署で聞かせてね。
今、警察の人達がここに向かってきてるから」

「うん、分かった。でも、どうしてさんがここに?」

「沖矢さんに連絡を貰ったのよ。君が誘拐されたから、いざと言う時のために警察を待機させておけってね」

「そっか、ありがとう」

「ううん、怖かったわよね。
もっと早くに助けてあげられれば良かったんだけど…」

「ボクは大丈夫だよ!」


誘拐されて拳銃を突きつけられたというのに、いつもと変わらない様子のコナンくん。
この子は本当に強いな。



「あ、あと、あの体当たりしたRX-7の持ち主って誰だか分かる?
話を聞かなきゃいけなくて」

「あ、えっとそれは……」













「僕です」









その声を聞いた瞬間、心臓がドクンと鳴った。

この、声……




恐る恐る見上げると、見慣れた金髪に褐色の肌。

なんで、なんでここにいるの……?



私の思考は完全に停止した。










「安室透と言います」












あむろ、とおる……?

言われた名前が頭をいくつも駆け巡る。
どういう状況だ。何が起こっているんだ。
目から入る情報と状況が一致しない。

私の目に映る彼は、一体……?




私が目の前の人物を凝視していると、彼の目が私にこう訴えた



ーー…合わせろ、と。




それを察知した瞬間、ぐちゃぐちゃになった頭の中を全てリセット。
そして、この0コンマ数秒で切り替えた。



「……安室透さん、ですか。
素敵なお名前ですね」



そう言って笑いかけた。
言われた通りにやったぞという思いと、少しの皮肉を混ぜて。



「ええ、自分でも気に入っています」



そうして彼も微笑んだ。
それはそれはムカつく顔で。


間違いない。こいつは私の知っている人物、降谷零だ。
そう確信した途端、久々に会えた安堵よりも怒りが湧いてきた。



なーにが“安室透”だ。ニコニコしやがって。
突然合わせろだなんて、しかも目で訴えかけてくるなんて、馬鹿じゃないの?
何がどうなって偽名を名乗ってるのか知らないけど、ここ3年間何の連絡もしないで。
こっちがどんだけ心配したと思ってるんだ。
ばーか。
……ばーか!!

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