第20章 夜想曲(ノクターン)
言われた通りに大石街道を北上する。
先程銃声が聞こえたことから、恐らくそんなに離れていないはず。
1度止めて様子を見るか…?
すると対向車線に青い小型車、沖矢さんのスバル360、白のRX-7、バイクが猛スピードで走り去って行った。
あれか……!!
そう思った瞬間、私はUターンして路地に入る。
あのスピードじゃ後ろから追っかけても追いつけない。
路地から先回りしなきゃ。
タイヤのキュルキュル音を鳴らしながら猛スピードで細い道を進んでいく。
恐らく、ここら辺で街道に出ればあの小型車よりも前に出れるだろう。
体当たりで止めるか?
幸い、車には私しか乗っていないし、この車が壊れても私が始末書を書くだけで済む。
背に腹はかえられないな。
そうして勢いよく路地から出ると、途端に白のRX-7が逃走車に体当たりをした。
その2台にぶつからないよう急いでハンドルを切る。
青の小型車は正面が大破。
RX-7もぶつけた右側が無惨な姿になっている。
誰だ、こんな危険な方法で止めたのは…。
まさに今やろうとしていた自分を棚に上げて、そんなことを思った。
ぶつけられたせいで慌てて車から出てくる犯人。
コナンくんを抱えて拳銃を所持している。
私はこっそり持ち出した拳銃を手に車から出て、犯人が持つ拳銃のみを撃ち抜こうと構える。
しかし発砲する前に、バイクに乗っていた人物がタイヤで犯人を吹っ飛ばした。
もう状況は滅茶苦茶だ。
皆がコナンくんの元へ駆け寄る中、私は吹っ飛んだ犯人の元へ。
完全に伸びてる犯人に手錠を掛けて、身柄を確保。
直ぐに仕事用の携帯を出して、捜査一課及び機動隊に現状を報告した。
にしてもすごい惨状だな。
車は2台大破して、犯人はバイクのタイヤで顔に怪我。
この道路はしばらく規制をかけなきゃな。
そんなことを思いながら、コナンくんの安全確認へ。
「コナンくん!!」
「え、さん!?」
「大丈夫だった?怪我は?」
「大丈夫!何も無いよ」
私の登場に驚いた様子のコナンくん。
どうやら無事のようだ。よかった。