第20章 夜想曲(ノクターン)
住宅街をずーっとグルグル回っている。
あー、こんなことなら沖矢さんにもっとちゃんと場所聞いとくんだった。
コナンくんは大丈夫かな?
どんなに頭が切れようと、あの子は小学一年生。
誘拐犯がナイフなり拳銃なりを所持していたら危険だ。
早く見つけて助けないと。
にしてもどこだーー!
また大石街道へ出ようかと思った次の瞬間、銃声が聞こえた。
音からしてこの近くの住宅街。
まさか、コナンくんに何か……!?
そうして、私は銃声のした方へ車を走らせた。
と同時に、携帯が鳴った。
ったく、こんな時に誰だよ!!
と思って見てみると、沖矢さんからだ。
「もしもし!!」
『あ、阿笠です』
「あ、阿笠さん!?」
車を寄せて電話に出ると、聞こえた声は電話の主ではなかった。
そっか、阿笠さんと追跡するって言ってたっけ。
「どうしました?」
『実は、今コナンくんが乗っている車を見つけまして、検問を張って頂けたらと』
「分かりました」
急いで手帳を出してメモを取れるようにする。
「特徴は?」
『青い小型車でナンバーは、新宿530 せ29-40。
犯人は恐らく拳銃を持っています』
やはり、先程の銃声はコナンくんを誘拐した犯人の物の可能性が高い。
無事だと良いが……。
阿笠さんから言われたことをメモして、直ぐに仕事用の携帯で検問の要請を行う。
だが、いくらすぐに検問を要請出来ると言ったってそれなりの時間は必要だ。
犯人は拳銃を所持しているとなると、そんな悠長なことは言ってられないな。
私が追いかけるしかない。
「今、検問と機動隊を要請しました。
その車は今どこにいますか?」
『大石街道を北上してるわ!!』
電話の後ろから哀ちゃんらしき声が聞こえた。
あの子もそこに居るのか。
「分かりました。こちらも直ぐに追いかけます」
電話を切って直ぐに大石街道へ向かう。
哀ちゃんの声色からして、切羽詰まった状況に間違いない。
急がなければ。