第20章 夜想曲(ノクターン)
私から聞いておいて何だが、捜査情報をそんなに簡単に漏らしていいのか高木くんよ。
「さんなら、何か分かるかなと思いまして…」
「これだけの情報な上にその男を見てすらいないんだから、何も分からないわよ」
「で、ですよね…」
「力になれなくて悪いわね」
「いえ」
「じゃあ頑張って」
「はい、ありがとうございます」
そう言って高木くんと別れた。
毛利さん達は大丈夫なのかな?
蘭さんもきっと怖い思いをしただろうに。それに拘束されていたという女性も気掛かりだ。
にしても探偵事務所で男が拳銃自殺だなんて、本当に巻き込まれ体質だよなあの人達。
忙しいかとも思ったが、どうしても心配だったため蘭さんへ電話を掛けた。しかし、どうやら通話中のようで繋がらない。
何かあったのかな?
まあでもコナンくんがいるし、きっと大事には至らないだろう。
何度目かの「おかげになった電話をお呼び出ししましたが……」の機械音を聞いた後携帯を閉じた。
すると今度は私に電話が掛かってきた。
見ると『沖矢昴』と書いてある。
毎度毎度この人は…一体何の用だ。
「はいです」
『沖矢です。
突然ですが、コナン君が誘拐されました。
今から阿笠博士らと一緒に追跡をします』
「……はい?」
突然ですが、の前置きをこれほどまでに感じたことは無い。
全く話が見えないのだが、一体何があったというのか。
コナンくんが誘拐…?え、大丈夫なの?
「こ、コナンくんは無事なんですか!?」
『分かりません。
警察には連絡してはいけないとの事でしたので、あなたに連絡をしています』
「…え?警察に連絡しちゃダメなのに私に連絡したんですか?
私も警察官なんですけど、沖矢さんもご存知ですよね?」
『犯人の言うことをそのまま聞き入れる訳にいかないでしょう。
しかし、コナン君に危害が及ぶことも出来ない。
万が一何かあった場合に、こちらが一から通報するより警察関係者に事情を知っている人物がいた方が話が早い』
「…よく分からないですけど分かりました。
すぐに検問を張れるよう手配します。何かあった場合に直ぐ出動出来るよう、捜査一課と機動隊にも話を通しておきます。
もちろん、犯人に悟られないよう一部の人間だけに」
『話が早くて助かります』