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【名探偵コナン】sangría

第20章 夜想曲(ノクターン)




「さ〜ん!!」

「おお由美!お疲れー」


もうすぐ定時を迎える頃、廊下で由美が駆け寄ってきた。



「今日、どうです?カ・ラ・オ・ケ!!」

「え〜、先週も行ったじゃない」

「先週は先週、今週は今週ですって!
パーッと歌ってストレス発散しましょーよー!!」


そう言って、大きく手を広げる由美。
この子がカラオケに誘ってくる時は、大抵職務中にイライラするような事があった時だ。



「あんた、今日も何かあったのね?」

「…そうなんですよ。
あんのワンボックス、スピード違反で切符切ったら逆ギレしてきやがって……!!」

「はいはい分かった、カラオケ行きましょ!
話はそこで聞いてあげるから」

「やったー!!じゃあ、美和子も誘ってきますね〜」



由美はスキップしながら捜一のフロアへ向かっていった。
と思ったら、途中で止まってこっちを振り返った。


「終わったら待ってて下さいよーー!!
逃げちゃやですからねーー!!」


廊下の端からそう叫ぶ由美。
相変わらず通る声ですこと。


「分かったから!早く行ってきなさい!」


私も同じように叫んだ。
全く、周りの人がこっちを見てるっての。

ていうか、佐藤は忙しいんじゃないかな?
今日も高木くんが慌てて現場に行く姿を見たし。
きっと何かあったんだろーな。



そんな呑気なことを考えていたら、
丁度前から高木くんが歩いてくるのが見えた。


「あら高木くん。お疲れ様」

「さん、お疲れ様です」

「今日も相変わらず忙しそうね。何かあったの?」

「あー、実は……」



何でも、毛利さんの探偵事務所のトイレで男が自殺をしたらしい。
その男は毛利さんらが居ない間に、依頼をしに来た女性を毛利さんの助手と偽って迎え入れた。
その後毛利さんらが帰ってくると、バレないようにトイレへ逃げ込み女性を拘束。
しかし逃げられないと悟った男はトイレの中で拳銃で自殺したとの事だ。

ちなみに女性の依頼内容は、死んだ兄からロッカーの鍵だけを遺品として受け取ったのでその鍵がどこのロッカーのものなのかを突き止めて欲しいというものだった。
自殺した男は女性を拘束した際に、このロッカーの鍵はどこのだ!と執拗に問い詰めていたらしい。
ただ、男と女性に面識はなく、今は男の身元捜査を行っているそうだ。
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