第19章 部下との再会
その後、青柳くんはあの時の私達の行動がどんなに凄かったか饒舌に語った。
全部後から友達に聞いた話らしいが、状況判断が早かったとか、友達への対応が神ってたとか、あそこでアイスティーが思い浮かぶなんて天才だとか、その他諸々……。
恥ずいからやめてくれ。
「そういえば健人、えと、その時一緒にいた友達がショートカットの綺麗な女の人に話を聞いてもらったって言ってたんで、てっきり今もショートカットなのかと思ってたんすけど、さんの髪長いですよね」
「ああ、そうね」
私の髪は腰あたりまであり、職務中は邪魔になるので纏めている。
「5年前から全然切ってないなー」
「忙しいんですね」
「それもあるけど、あんまり切りたくなくてね。特に前髪は」
卒業式前に萩に切ってもらってから、誰かに髪を切ってもらうのに少し抵抗がある。
当時は失敗されてブースカ言ってたけど、今となればあれもいい思い出。
私の大切な宝物だから。
だから前髪はあの頃から手付かず。
もう前髪と言っていいのか分からないほど伸びているけど。
後ろの髪は何もしないというわけにもいかないので、自分で毛先を整える程度は切っていた。
でもそれにも限度があり、この5年であの頃からはだいぶ伸びたな。
「昔は超ベリーショートだったんだから。
青柳くんが警察学校に通ってた時期も、女子はみんなそんくらいだったでしょ?」
「確かにそうでしたけど、さんのショート、想像つかないです 。写真とか無いんすか?」
「卒業式に同期と撮った写真があるけど、絶対に見せない」
「えーー」
「前髪めっちゃ短くて、サランラップのCMの子みたいだって言われたんだから!」
「それ逆に気になりますって」
「絶対に嫌!!」
多分、これからも髪はあんまり切らないと思う。
毎朝伸びた髪を纏めていると、あの頃を思い出すから。
「ほら、その書類交通課に印貰いに行くんでしょ?
早く行ってきなさいよ」
「了解っす」