第19章 部下との再会
そう話す青柳くんの笑顔を見て、私達のあの行動が彼を動かしたと思うとなんだか暖かい気持ちになった。
そっか、人の思いはこうやって繋がってくんだな。
やっぱり、あの日々はかけがえのないものだ。
「でも、その人達が誰だか分からなくて、未だにお礼が言えていないんすよね。さん知りません?」
「…私が知るわけないでしょ」
「ですよね」
なんだか気恥しくて知らない振りをした。
ま、別に自分から言う必要無いもんね。
青柳くんはまだ慣れない報告書に目を向ける。
そんな彼に向かって小さく「ありがとう」と呟いた。
あいつらの命を繋げてくれてありがとう、と。
「さん、今何か言いました?」
「いや?気のせいじゃない?
それより、もうウミヘビには気をつけるのよ」
「もちろんっすよ……………ん?俺ウミヘビに噛まれたって言いましたっけ?」
…やべ
「何で知ってるんですか?俺がウミヘビの毒で死にかけたって」
「いや、何となく…」
「何となくって、そんなことあります?
……ま、まさか!?あの時助けてくれたのってさんだったり……!!?」
このまま黙ってようと思っていたが、完全にやらかした。
ま、別に無理に隠さなくてもいいか…。
「……はぁ、そうよ、あの時応急処置をしたのは私達。と言うより、正確には私の同期ね」
「まじすか…やっと会えた……!!ずっと直接お礼が言いたかったんです!!あの時は本当にありがとうございました!!」
「大袈裟よ」
「大袈裟なんかじゃないっすよ!!命の恩人なんですから!!」
興奮気味に話す青柳くん。
だいぶ鼻息が荒い。
「同期ってことは、他の方々も警察官なんですか?5人組だったって聞いたんですけど」
「あぁ、まあね。あの日、警察学校の長期休暇中だったからたまたま」
「もし良ければ、その他の方々にもお会いしてお礼を言いたいんすけど…」
「あー、みんな忙しいから難しいかも。私から伝えとくよ」
うち3人はもう亡くなってるなんて言えないし。
「そうですか……じゃあ、お願いします」