第18章 危険なエリア
そんな事を思いながら、私は運転する沖矢さんをじーっと見つめた。
……やっぱり、なーんか見覚えある気がするんだよなこの横顔。
「そんなにじーっと見つめて、惚れました?」
「いえ」
沖矢さんが前を見ながらそう言った。
ったく、何言ってんだこいつ。
横に目でもついてんのかよ。
「もう終わりました?」
「え?何がです?」
「さっきからずっと頭を悩ませているようだったので、何か考えてたのかと」
「ああ、まぁはい、粗方」
最大の謎はあなたなんですけどね。
「…何も教えないと言うのも意地悪なので、貴方に取っておきの情報を一つだけお教えしましょう」
「えっ!?ほんとですか!?」
何だろう?
色々聞きたいことはあるけど、情報はあるだけ嬉しい。
出来るなら、今日あった出来事の核心に触れるような内容がいいな。
もしかしたらそれで謎が1つ解けるかもしれない。
「実は私、あの江戸川コナンという坊やと仲がいいんです」
「……へー」
どーーでもよっ!!
いっちばんしょうもないとこ攻められた。
「ああそうですか良かったですね」くらいしか返す言葉がみっかんねぇよ!
それ知ったところで何もわかんないし!!
てかあの不穏な雰囲気の会話を見た後に仲が良いですって言われても。
もしかして、沖矢さんの片思い…?
あーーーなんか考えるのが馬鹿らしくなってきた。
寝よ。
「あ、寝る前にあなたの家の住所を教えて下さい。
でないと送りようが無いので」
「嫌です」
誰がこんな謎だらけの怪しい男に自分の家の住所教えるかよ。
「この間お邪魔した工藤邸までで大丈夫です。
そこからは歩いて帰ります」
「そういう訳には行きません。
私はあなたをきちんと家まで送らなければいけませんから」
…また意味わかんないこと言う。
だからそれが何でだよ!って話なの!!
「……緑台駅に止めてくだされば、そこからは歩きます。
家は駅近くなので。これでいいですか?」
「ええ、分かりました」
そうして車は、私の家の最寄り駅の緑台へ向けて走り出した。