第18章 危険なエリア
「え、赤井さんに会ったの!?」
「いや、私が下のカフェで席を外している間にコースターの裏にこっそり書いてくれたのよ!『このエリアは危険だ』って」
だとしたら、やはりジョディの言う通り赤井さんは生きているのか?
例の黒い帽子を被った右の頬に火傷の跡がある男性が赤井さんだと言うのか…?
「それで、キャメル?なんでここが危険なの?
爆弾事件は解決したはずよ」
ジョディがキャメルさんに問う。
確かにそうだ。爆弾事件が解決した今、このデパートに危険なことなどあるはずがない。
「見えたんですよ…この百貨店の向かいのホテルの窓に、スナイパーらしき人影と、その真下に停まっている黒いポルシェ356Aがね」
キャメルさんのその言葉を聞いた途端、ジョディとコナンくんの顔が驚くほど強ばった。
スナイパーはともかく、黒のポルシェ356Aだと?
一体、何がどう危険だというのだろうか?
すると、ジョディが走り出した。
「さん!!絶対に外に出ないでね!!」
そう私に叫んだコナンくんも、急いでジョディの後を追う。
話が全く見えない。
なぜ危険なのか?
なぜジョディやコナンくんがあんなに取り乱したのか?
なぜコナンくんは私に外に出るなと言ったのか…?
「あっ、ちょっとさん!!」
キャメルさんが、走り出した私を呼び止める。
が、そんなのお構い無しにエスカレーターを駆け下りた。
外に出るなと言われてじっとしていられるような性分じゃない。
もし本当に危険が迫っているならば、私は警察官として市民の安全を守らなければならないのだから。
1階フロアまで来ると人が大勢いたため、ジョディやコナンくんを探すのに手間取った。
辺りを見回してキョロキョロする。
「…っ!?」
今、誰かとすれ違った。
知ってる、この気配。
これは、私の大切な……
「……ゼロ…?」
そう振り返った先は、人で埋まっていて。
この気配の正体がなんだったのか、私が知ることは出来なかった。
落ち着け私、こんな所にあいつが居るはずないんだから。
今は市民の安全が第一でしょ。
逸る鼓動を、そう言い聞かせて落ち着かせる。