第17章 難攻不落の
「あ、あの!!だ、旦那様が眠ったまま縛られて、クローゼットの中に…!!」
メイドさんが血相を変えて走ってきた。
機動隊が急いで救出に当たっているそうだが、「触るな危険」と書かれた針金のせいで手こずっているんだそう。
「バカな!?ジイさんがこの部屋に入った時間はほんの2〜3分しか…」
そう言って中森警部が金庫部屋の扉を開けた先には、
『狸の腹の中、確かに探らせて頂きました』の文字が書かれた怪盗キッドカードが貼られていた。
「…よーし、A班は念の為爆発物処理班と合流し、鈴木氏の救助へ!
残りの者は……全員奴を追え!!!」
そうして出動していく警察の面々。
ああ、私はやることがあるのでもちろん毛利さん達と一緒にいるが。
シーン、とした様子の廊下。
「兵どもが夢の跡だな…」
上手いこと言うな、毛利さん。
「はーあ、でもおじ様がキッド様だったなんて、もっと仲良く喋っときゃよかった…」
「その事なんだけど、何かひっかからない?
最初に防犯装置のスイッチを切って、予告状を置いた次郎吉さんはキッドだったんでしょ?
でも、その後小銭を拾ってくれた次郎吉さんは本物で、最後に車のキーを放った次郎吉さんはキッドだったんだよね?」
「言われてみりゃ、いつすり変わったんだろーな…」
くっ、さすがに鋭いな。
「さ、さすがは怪盗キッド!月下の奇術師ですよね!
この間の瞬間移動も成功させちゃいましたし、やっぱり凄いなーキッドは!!あはは!」
突然様子が変わった私をジト目で見つめる3人。
うー、こういうのは苦手なんだよ…!
「あれ、そういえばコナンくんは…?」
「コ、コナンくんならトイレに行きましたよ!
あ!いっけなーいもうこんな時間だ!!ささっ、帰りましょ帰りましょ」
「え、あ、でもコナンくんが…」
「あの子なら大丈夫ですって!車で待ってましょう?ね?」
「は、はい…」
だいぶ無理があるかとは思いつつ、私は3人の背中を押して駐車場へと向かった。
ー…後は頼んだわよ、小さな探偵さんと月下の奇術師さん