第17章 難攻不落の
「とにかく、儂はこれから部屋で食事をとる!あまり大騒ぎするでないぞ!」
そう言って、相談役はその場から去っていった。
「なーんか変よね、おじ様…
いつもは『あのコソドロに目にものを見せてくれようぞ!!』ってギラギラしてるのに、今回は偽物だから放っておけとか、儂の家族だから調べるなとか、
もしかしておじ様がキッド様だったりして!」
「まさかぁ…」
確かに、園子さんの言う通り妙だ。
キッドから予告状が届き、近々家にやってくるかもしれないというのに、普通新しい人間を雇うだろうか?
そもそも、その予告状を出したキッドの行動も不可解だ。
あの古めかしい最初の予告状が警察をからかうための物だったとしても、何故予告日当日になっていつも通りの予告状を新たに出さなければいけなかったのか?
この事件の裏には何かがある気がする。
「怪盗キッド見つかりました?」
突然そう話しかけてきたのは、あのメイドさん。
「いや、まだみたいよ」
「あ、ここの廊下通らない方がいいですよ!」
「え?どーしてですか?」
「メイドさん、キッドかもって疑われてるから!
このガキンチョのせいでね!」
親切に教えてあげる蘭さんと園子さん。
コナンくんは、「はは…」と苦笑いを零した。
「困ったな…
このお食事、旦那様の部屋にお届けしろって言われてるのに…」
「え?おじ様に?」
「ええ、私は来たばかりなので知りませんでしたけど、最近夕食だけご自分の部屋で1人で取ってらっしゃるみたいで。あと、食器を下げる時に何故かいつも皿が2枚足りなくなっているらしくて」
「変なのは食事や皿だけじゃないみたいですよ。その食事の後、金庫部屋に入って金庫のチェックをされるらしいんですが、その時に必ず杖を持たれるようになったと聞きました」
メイドさんと使用人さんから興味深い話が聞けた。
食事に皿に杖…
それらが無ければ金庫が開けられない仕組みにでもなっているのだろうか?
「タバコタバコ……っと、しまった、切らしてるんだった…
悪いが使用人さん、ちょっとタバコを買って来てくれねーか?」
「あ、はい。
あ、それとメイドさん、先程旦那様から『食事はまだか』と内線が入りまして…」
「か、かしこまりましたすぐに!!」
メイドさんは食事が乗ったワゴンを勢いよく押し、毛利さんに当ててしまった。