第17章 難攻不落の
「用が済んだら扉の前から離れてくれませんかねぇ、警備の邪魔なんで」
「フン!無駄じゃと言っておろうが!
偽物なんじゃから!
毛利探偵達も帰りなされ!今夜は何もありゃせんよ!」
中森警部の言葉なんてお構い無しに、みんなに帰宅を促す相談役。
やっぱり、今回の予告状は偽物だと確信しているようだ。
確かに内容も変だったし、マークもパチモン臭かったしな。
はあ、わざわざ茶木警視に頼んで来たのにハズレだったかー。
「んじゃあ、帰るか…」という毛利さん達と廊下を歩いていると、先程出したタバコがポッケから落ちてしまった。
拾おうと屈んだ瞬間、
ドンッ!!
「いたた…」
何やら誰かとぶつかってしまったようだ。
「あ、ごめんなさい!大丈夫ですか?」
「え、ええ…こちらこそ突然屈じゃったから」
すみませんと頭を下げる彼女。
格好から見るにここのメイドさんだろうか?
「ワンちゃん探してて…
しゃがんでキョロキョロしてて、ちゃんと前見てなくて…
本当にすみません!」
「いえいえ、大丈夫ですから!」
「あら、おじ様の愛犬のルパン君なら、ちょっと前に具合が悪くなって入院させたっておじ様に聞いたけど」
園子さんの言葉に「え〜!?」嘆くメイドさん。
ん?メイドさんなのに知らなかったのか?
「あ、実は私、今日来たばかりで…
はあ、残念だなー、かわいいワンちゃんがいるって聞いて楽しみにしてたのに…」
「あ、私行かなきゃ!」と頭を下げて去っていった彼女。
大分そそっかしい子だな…。
そうして毛利さん達と再び帰ろうとしたその時、
「おいジイさん!!今すぐ防犯装置を切ってくれ!!
中に落ちてんだよ!!
さっきまではなかった、怪盗キッドカードが!!」
中森警部がそう叫んだ。
急いで防犯装置をきり、部屋の中へカードを取りに入る。
『予告通り
月が闇夜から顔を出す前に
狸の腹に入った大切なお宝を頂きに参りましょう』
いつもの怪盗キッドマークと共に、カードにはこう書かれていた。
これは、誰がなんと言おうと本物のキッドからの予告状だろう。
今夜、キッドは必ずこの場に現れるという事だ。