第2章 唸れ体育祭
そして迎えた体育祭当日
初めての行事ということもあって、学校全体が浮き立った雰囲気に包まれていた。
私は最後の教場対抗リレーの他に女子全員参加の借り物競争があり、みんなもそれぞれ別の出番がある。
特に5人で組んでいる騎馬戦には力を入れているようで「ぜってぇ見とけよ!」と松田に散々言われている。
しょうがないから、応援でもしてやるか
女子の借り物競争は午前中に行われるため、早々に招集場所へと向かった。
この競技は、リレーや騎馬戦などと違って予行演習無しの1発本番である。
説明を聞くに、借りるのは物だけでなく人である可能性もあるんだとか。
どうか、簡単なお題であって欲しい
「よーい、ドンッ!」
教官の合図と同時に、私を含む5人が一斉にお題の元へ走り出した。
どれどれ、内容は「男前な人」か…
おい待て、お題が抽象的過ぎないか?そんなの、人によって感じ方が違うだろうに
お題沿っているか最終的に判断するのは、ゴール近くに控えている体育祭係だ。
誰もが納得する人でないとクリアは望めない。
そんなやついるか?
男前…おとこまえ……
……いた、誰もが納得する男前
思い立った瞬間、私はその人物が控える座席へ向かって走り出した
______
【no side】
「あいつ遅くね」
「ああ」
「悩んでるみたいだね。お題が難しかったのかな」
グラウンドの中心で、が顎に手を当てながら考える姿を見て話す松田たち
その悩んでいたが、突然こちらに向き直って全速力で走ってきた。
「お、見つけたみたいじゃん?もしかして俺だったりして」
「ねぇな」「ないな」「ないね」
そう返しながらも、近づくに思わずソワソワする彼ら。
走り出す準備は万全のようだ
「だぁぁてぇぇぇ!!!」
会場中に響き渡る大声で、がそう叫んだ
「お、俺か?!!」
呼ばれた伊達が動揺しながら立ち上がる。
そして、そんな伊達の腕をガッと掴むとはゴールへと走っていった。
お題の探し始めはビリだっただが、特訓のお陰かどんどん抜かしていき1位でゴールすることが出来たのだった。