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【名探偵コナン】sangría

第16章 餌付け



大きな門から出ると、そこにはなんとコナンくんがいた。


「あらコナンくん、こんにちは。
本当によく会うわね」

「こんにちは。
ねぇ、なんでさんがこの家から出てきたの?」


不思議そうに問いかけるコナンくん。

そりゃ、こんな豪邸から知り合いが出てきたらびっくりするだろうな。



「実は、ここの家の方にご飯をご馳走になってたの」

「さんの知ってる人?」

「いいえ、今日初めて会った人よ」


そう言ってすぐ、初対面の人の家に上がったというのは子供への教育的にあまりよろしくないかと気付いた。

ま、言ってしまったから仕方がない。



「コナンくんはこんな所で何してたの?」


ここはあの毛利探偵事務所とは少し離れているはずだ。


「あぁ実は、この家の隣が阿笠博士の家なんだ!
ほら、この間ニューベイカホテルの時にいた人だよ。
今日はその博士の家に遊びに来てたんだー!」


あー、子供たちと一緒にホテルのバイキングに来ていた男性か!
余程仲がいいんだろうな。


「そっか!これから帰り?
気を付けてね」

「あー、待って!!」


帰ろうとすると、コナンくんに引き止められた。


「ん?なあに?」

「…この家の人に何か言われた?」

「いいえ?特には」

「…そっか!じゃ、僕行くね!」

「あ、うん!気を付けて帰るのよ!」

「はーい!!」



コナンくんの様子がいつもと少し違う気もしたが、まあ気のせいだろうな。

そうして、私は両手にスーパーの袋を提げて帰路に着いた。
















自宅までの道のり、頭を埋め尽くすのは先程の玄関での出来事。
ほんの数秒だったはずなのに、ビーフシチューよりもプリンよりも印象深かった。


あの時思ったんだ、私はあの人のことを知っていると。
でも、どこでどう出会ったのかが分からない。

忘れるなんてことは無いはずだから、やっぱり勘違いなのかな。
もし知り合いなら、スーパーで話しかけられた時点で気づくはずだし。


…そういえば彼、私が名乗る前に私の名前を言っていた。
「さん」って。
なんで私の名前が分かったんだ?
やっぱり知り合いなのかな?

いや、それなら絶対に覚えているはずだし…
うーーん……



考えれば考えるほど、謎は深まるばかりだった。

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