第15章 奇術師
「そういえば、コナンくんはキッドキラーなんて呼ばれてるんですよ!ね?コナンくん?」
「え!あ、うん」
「へぇー、コナンくんは相変わらずすごいのね」
「い、いや、それほどでも…」
「ふんっ、こんなガキンチョ、キッド様には到底及ばないわ!」
突然話を振られて少し動揺気味のコナンくん。
それもそのはず、この子先程からずっと私から目を離さないでいる。
私の顔に何かあるのだろうか。
「あっ!いっけなーい!!この後お父さんのお客さんが来るんだった!」
「なら急いで帰ろーよ!」
「うん!
すみませんさん、失礼します!」
「いいえ!気を付けてねー!」
そう言って走っていく彼女達を見送って、私も背を向けて歩き出した。
すると、後ろからタッタッと子供が走ってくる音が聞こえてくる。振り向くと、そこにはつい先程蘭さん達とともに別れたコナンくんがいた。
「どうしたの?何か忘れ物?」
「…ねぇ、ジョディ先生から聞いたんだよね?」
いつもの明るい声色と違って、少し低い、探るような声。
なんの事かなんてすぐに分かった。
だって、何故だかこの子はFBIと繋がっているのだから。
「なんの事かしら?」
ここで素直に「はい」と言えるほど、優しい人間じゃない。
私にも警察官としてのプライドが残っている。
シラを切り、私は立ち上がってコナンくんに背を向けた。
それをじっと見つめるコナンくん。
「……安心して、口外法度の約束は守るわ」
それだけ伝えて、私は彼の前から去った。