第14章 魔法の呪文
提出したという携帯電話は恐らくコナンくんのもの。
だとしたら一体なぜ?
そういえば、ジョディやキャメルさんは元々コナンくんと知り合いのようだった。
一体どこで?どうやって知り合ったのか?
ということは、コナンくんは赤井さんのことも知っているのだろうか?
FBIとはどういう繋がりがあるのか?
あの子は一体、何者なのか…?
どんなに考えても、その答えは出るはずがない。
しかし、この疑問は頭の中を駆け巡って私を深い谷底へと落としていった。
すると、そのから引き戻すかのように私の携帯電話が鳴った。
見るとそこには『Jodie Starling』の文字が。
何故か、私の心臓は大きく鼓動する。
「どうしたの?また連絡してとは言ったけど、まさかこんなに早く来るなんて……
『、少し会えないかしら?』
電話越しのジョディの声は、今までの彼女の姿からは想像できないほどに悲しげだった。
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「ごめん、待たせたわね!」
「いいえ、大丈夫よ」
仕事を早めに切り上げ、本庁近くのカフェでジョディと落ち合った。
今朝掛かってきた電話とは違って、普段通りに見える彼女。
……私に話とは、一体何なのか。
浮かんでくる可能性は即消去。
きっと、私とゆっくり話がしたかったんだ。
それぞれの近況報告とか、そんな何気ない世間話を。
しかし、私が席に着いても一向に喋り出す様子のないジョディ。
彼女が飲んでいるアイスコーヒーのグラスを水滴が伝っていき、コースターへシミを作っていく。
「……突然どうしたの?昨日の今日で」
痺れを切らした私はジョディへ話しかけた。
するとジョディはゆっくりと私の方へ顔を向けると、その綺麗な碧眼で私を見つめて口を開いた。
「昨日、来派峠で銃創のある焼死体が見つかったことは知っているわよね?」
「え、ええ、もちろん」
「……秀だったの。あの死体」
その言葉を聞いた私は、驚かなかった。
やっぱり、どこかで分かっていたんだと思う。
それよりも、なぜ私に伝えたのかということが気になった。
「…あなたには、伝えなければいけない気がして」
「…そう」
静かにそう言うジョディに、私はそれ以上聞くことは出来なかった。