第2章 唸れ体育祭
既に青くなった桜の木が風に揺られ、川のせせらぎが耳に届く
私たちは今、多摩川沿いの土手にいる。
休日を返上し、わざわざ外出許可を教官に提出して
なぜかって?それは
『そりゃやるだろ?特訓』
『特訓?』
『やるからには必ず勝つ。そのためには練習量が必要だ』
『いや、でも予行演習あるじゃん』
『だーかーら!その予行演習でも勝たなきゃ意味ねえんだって』
『はい?』
『今週末の6人分の外出許可は取ってある。当日逃げるなよ』
『外出許可までとか、抜かり無しかよ…』
ゴリラたちによる勝ちへの闘争心のおかげで、大事な大事な休日を棒に振ることとなったのだった。
「ねえ萩、なんで止めてくれなかったの」
「え?だって陣平ちゃんああなると止らんないし、それに楽しそうじゃん?特訓」
「他人事だからって…」
「6人で外出とか初めてだし、案外楽しくなるかもよ?」
「外出って言っても、徒歩20分の何にも無い土手だけどね」
「良いじゃねーか!あいつらがあんなにやる気になってんだ、付き合ってやろーぜ」
3人になだめられながら、地獄のリレー特訓はスタートしたのだった。
まずは走順を決めなければ始まらないということで、降谷松田によるアンカー争奪戦が行われた。
結果はタッチの差で降谷くんの勝ち
悔しがりながらその場に崩れ落ちる松田と、それを得意げに見下げる降谷くん
うん、面白い
そうしてなんやかんやあって、走順は
伊達→萩原→松田→→諸伏→降谷
に落ち着いた。
その後は降谷くんからのありがたーいご指導。
「腕をもっと振れ」とか「腿はもっと上げろ」とか
これが中々にハードである。
そして、腕を振るメリットやら腿を上げる効果やら色々聞かされて、ついには人体の構造まで語り始めた。ダメだこりゃ
色んな意味で辛すぎ