第2章 唸れ体育祭
「え、6人って、だれ?」
「そりゃもちろん俺と、陣平ちゃんと、班長と、降谷ちゃんと、諸伏ちゃんと、ちゃん」
「わ、私も?!!」
「あったりめーだろ。じゃなきゃ6人揃わねーし」
「それなら他の男子誘えば良いじゃん!」
「走順どーする?アンカーはやっぱ降谷ちゃんかな」
「俺だろ」
「スタートは班長で決定ね」
「俺か?」
「話を聞け!!」
私の抗議なんて相手にもされず、話はどんどん進んでいく。
私が入ったら足手纏いになるに決まっているのに
走るのに自信はある方だが、それは一般的な女子と比べたらの話であって、このゴリラ蔓延る警察学校内では、私はただの無力な小動物に過ぎないだろう。
大勢が見ている前で恥を晒せるほど、私は落ちぶれていない
どうにかこの状況を打開する方法を…
助けを求めて降谷くんの方へ顔を向ける
いやめっちゃウキウキした顔しとる。
あんたさっきまで「リレーは面倒くさい」的な発言してましたやん
おめめもキラキラさせとるし
だめだ、頼みの綱であった降谷くんがこうなれば、私に逃げ道は無い
「さん、頑張ろうね!」
とどめを刺された。
そう、私はこの諸伏という男の笑顔にもっぱら弱いのである。
こうなれば、私に残された答えは一つしかない
「う、うん」
ぎこちない笑顔でそう返す。
受け入れよう、この運命を
そうして、私は天を仰いだ