第14章 魔法の呪文
トビーさんの彼女は、被害者である社長にこき使われて過労で体を悪くし、去年の暮れに亡くなったそうだ。
日本語が読めなかった彼女に、日本語で書かれた契約書にサインをさせた社長。
おまけに、彼女が働けなくなった場合、彼女の弟が連帯責任を負う契約になっていたそうで、せめて弟だけは助けてやろうと、拳銃で脅して契約書を奪いに来たんだという。
その時の社長の言動に思わず引き金を引いてしまったそうだ。
「それにしても、コナンくんよく気がついたわね!彼の中身が日本人だって」
「レセプションだよ!
秘書のお姉さんが『ホテルのレセプションに行く』って出ていった時、トビーさん『人が死んだのにパーティーの方が気になるなんて』って言ったんだ!
外国の人にとってホテルのレセプションって、フロントのことでしょ?
だからわかったんだよ!トビーさんは英語が出来ないってね!」
あの時そう話しかけられたのは私だ。
全く、気付かず無視してしまっただなんて。
人の言動まで見逃さないとは、流石はコナンくんだな。
結局犯人は、ハーフではあるが日本に籍を置いている歴とした日本人。
私が出る幕は無かったということだ。
だから、わざわざ現場まで来た意味も無くなってしまったのだが、ジョディにも久しぶりに会えたし、コナンくんとも沢山お話できて、不謹慎だけど楽しかったからオールオッケーってことで。
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「今日は、長々とお時間を取らせてしまってすみませんでした。
それに、とっても失礼なことまで…」
「い、いえ!気にしないで下さい!
それに、さんの話は赤井さんからよく聞いてたので、今日会えて良かったです」
謝る私に笑顔でそう言ってくれるキャメルさん。
赤井さんか、久しぶりに聞いたなその名前。
「ったく、何で出ないのよ!?」
キャメルさんと話していると、少し離れたところでジョディがイライラしたように叫んだ。