第14章 魔法の呪文
「秘書のイリーナさん、この内容に心当たりはありますかな?」
「あ、ハイ。多分ソレは社長サンが私に向けた伝言だと思いマス!
今晩パーティーがありますから、それまでに取ってきてくれと…」
だとしたら、これは事件とは無関係のただのメモだということか?
イリーナさんは、警察が車で現場の何にも触れていないと言うし…、
犯人は一体なぜ、このメモを持ち去ったのだろうか。
「とにかく、このメモをこちらで調査しますから、しばらく皆さんは別室で待機してもらいますよ」
目暮警部がそう言って、容疑者である彼らを別室へと移動させた。
「コナンくん!あのメモのことで何か気付いたことはある?」
一緒に別室へ移動するコナンくんを引き止めて、聞いてみた。
この子なら既に何か分かっているかもしれない。
「うーん、この英文に何かを足しても引いても別の何かを示す意味になるとは思えないんだよね…」
「そうよね…やっぱり、そのままの意味として考えるべきなのかしら」
「だとしたら、なぜ犯人は関係ないこんなメモを持ち去ったんだろう」
「引っかかるのはそこなのよね。
意味が分かっていれば、持ち去る理由は無いと思うんだけど…」
私とコナンくんは再び頭を悩ませた。
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「あ、あのー、このままただ待っているだけなら、2時間くらい抜けたいんですけど…。
もうすぐ、僕の担当する授業が始まるので…」
「わ、私もホテルのレセプションに行ってきてもいいでスカ?色々なキャンセルをしなきゃいけませんシ…」
ハルさんとイリーナさんがそう言った。
確かに、皆それぞれ用事があるだろうからずっと拘束するのは無理があるな。
「なら、誰か刑事が付き添うなら構わないんじゃないですか?ねえ目暮警部」
「うむ、そうだな。ハルさんには授業を諦めて貰うしかないが、無断で休む訳にもいかんだろう。
では、刑事を同行させますのでどうぞ行ってきて下さい」
高木くんたちと共に出ていく彼ら。
「フン、人が1人殺されたってーのに、授業やパーティーの方が気になるとは、いい神経してるねぇ。
そう思わないかい?美人な婦警さん?」
「……」
そう私に話しかけてくるトビーさん。
あなたも大分お気楽だと思いますけどね。
とは言えないので、黙って無視した。