第14章 魔法の呪文
にしても、コナンくんとは本当によく事件現場で会うな。
毛利さんよりコナンくんの方が巻き込まれている気がするのは私だけだろうか。
「その秘書から通報があったのはいつなの?」
「今から2~3分前だよ!犯行時刻はその1~2分前、
丁度近くで聞き込みをしていたからすぐに来られたんだ」
コナンくんに聞かれ、ペラペラと事件の概要を話す高木くん。
気持ちは分かるけど、後で目暮警部にドヤされても知らないぞ。
「だとしたら、まだホテルの中にいるかもしれないね、犯人」
「え、でも、犯行時刻から5分以上は経ってると思うけど…」
「もう高木くん、しっかり状況を見なさい。
3基あるエレベーターのうち2基は故障中と点検中、残る1基にみんなが殺到して中は満員状態。
拳銃を撃った後の火薬の臭いをさせて、満員のエレベーターにのるような間抜けな犯人は居ないんじゃない?
そうよね!コナンくん?」
「う、うん!」
となると、犯人は5階上のレストラン街で何食わぬ顔をして食事をしているか、同じく5階上のフロアのトイレに隠れているか、汗だくで階段を駆け降りているかの3択になる。
「何にせよ、容疑者が日本語が話せてタレントが出来そうな外国人なら見つけやすいよね?」
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容疑者探しは高木くん達に任せて、私は先に39階の社長が殺された現場に来ている。
「ではあなたがこの社長の死体を発見した時、この部屋には誰もいなかったんですな?」
「ハイ、そうデス!」
目暮警部の質問に答えたこの人は、イリーナ・パーマーさん。
先程も話に出た、第1発見者である社長の秘書だ。
「社長さんが今日会うはずだったタレントの卵には本当に心当たりは無いんですよね?」
「ハイ、社長サンは正式に採用するマデその人を誰にも会わせませんカラ…」
私からの質問にも丁寧に答えてくれた。
「ウーム…顔も名前もわからんとなると、犯人を割り出すのは骨だな……」
イリーナさんの答えに目暮警部は頭を悩ませる。
「そうでもないかもしれませんよ?目暮警部」
「…?」
確かに、この状況だと一見酷なように思えるが、恐らくもうそろそろ……
「警部!容疑者を連れて来ました!!日本語がペラペラの怪しい外国人を!!」
そう言って、外国人3人を連れた高木くんが登場した。