第12章 指輪とそして
警視庁から応援も駆けつけ、矢倉麻吉は無事逮捕された。
「本っっ当にごめん!!!」
「いや、大丈夫です。さんが居なきゃ矢倉は捕まえられなかったわけですし」
勢いよく頭を下げるさん。
本当に不運な事だ。まさかあのプレゼントの中身が指輪だったなんて。
「弁償するから!!」
「本当に大丈夫です!ちゃんとしたのをまた自分で買いますから!」
そう言って高木さんは佐藤さんの元へ走っていった。
一方佐藤さんは膝をついて動けない様子である。
「さ、佐藤さん…?」
「どうしたの?」
「泣いてんのか?」
高木さんと子供たちが心配そうに声をかけている。
「ねぇ、きっとあれのせいだよ」
少年が指さす先には、大きな観覧車が。
恐らく佐藤さんは、先程、観覧車の後ろで上がった花火を3年前の爆発事件と重ねてしまったのだろう。
「思い出させてしまったようね。観覧車で殉職した松田刑事をのことを」
茶髪の哀ちゃんが静かにそう言った。
「バカバカ!!どうしてこんな場所デートに選んだのよ!!」
「男の風上にも置けませんよ!!」
子供たちが次々に高木さんを責めていく。
それを見て俯くさん。
「すみません、僕、気づかなくて…」
高木さんが申し訳なさそうに佐藤さんへそう言った。
「……ねぇ、約束してくれる…?絶対に居なくならないって…、
私の前から居なくならないって…!
…約束しなさいよ!!」
涙ぐみながらも、力強く高木へ告げる佐藤さん。
高木さんが、そんな佐藤さんの手を取った。
「もちろんです」
高木さんは、大切な指輪を無くしてしまったけど、もっと大切な何かを手に入れたようだった。