第12章 指輪とそして
「青柳と高木くんは子供たちをお願い。
行くわよ、佐藤」
「はい」
「了解です」
「え、さ、佐藤さん…」
さんと佐藤さんが矢倉麻吉の元へと向かった。
それと同時にドーーン!!と花火の音が響き渡る。
「おい、今花火に交じって違う音がしなかったか!?」
「したした!バーンって!!」
3発ほどの花火が打ち上がったその時、銃声のような音が聞こえた。
「佐藤!!」
見ると、矢倉が佐藤さんを押し退けてカバンを持って逃走していた。
「チッ、銃を持ってやがったか…追うわよ!」
「はい!!」
「高木さん、俺達も行きましょう」
「は、はいっ!!」
そうして、逃走した矢倉を追いかける。
広場を出て追いかけ続けるが、中々追いつくことが出来ない。
「佐藤!!挟み撃ちよ!!」
「了解!!」
そうさんが佐藤さんへ叫ぶと、通路横の茂みへダイブし、木を掻い潜って走っていった。
あれ、さっきよりも速いんじゃ…
俺も茂みへ入り後を追うが、速すぎてどんどん見えなくなる。
一方で矢倉とはどんどん距離を詰め、遂に矢倉より前を走るさん。
そして、大きな観覧車を背後に矢倉の前へ立ちはだかった。
「くそっ…!!どけ!!!」
矢倉が拳銃を向けた。
それと同時に大きな花火がさんの後方で打ち上がる。
「ハッ!!!」
さんは向けられた拳銃を回し蹴りで弾き、そのまま矢倉の顔面目掛けて飛び膝蹴りを食らわせた。
綺麗に背後へ飛んでいく矢倉。
不幸なことに、開いていたカバンから小さな箱が飛んでいって、海にぽちょんと入ってしまった。
「あ……!!」
「お、俺の指輪が…!!!」
叫ぶ高木さん。