第1章 憧れが好きへ
それからも時々、彼を駅前などで見かけた。
時には黒髪をお団子に束ねているイカツイ男の子と一緒にいるのを見かけたし、
あの日会った可愛い女の子と3人でいるのも何度か見かけた。
その度、いつも1人でいる時の不機嫌そうな顔とは違い…楽しそうな笑顔を見せていた。
そういえば…あの時白髪の髪と同じ色のまつ毛の色してたな。
とか、
もう一度あのキラキラとしたアクアマリン色の瞳を見てみたいな…とか
彼を見かけない日にまでそんな事を考えるようになった。
駅に行くたび、彼の事をキョロキョロと探しては…会えずに溜息を落としてばかりいた。
そして気がつく。
そうか、私…
いつしかあの白髪の彼の事を好きになっていたんだ……
タイプじゃないとか言っておきながら…まんまと彼に惹かれてしまった。
でもこのままだと、もう関わる事なんて無いかもしれない。あの日あの人の視界に映っただけで奇跡みたいなものだったんだ。
だから…もしも次に見かけたら、もう一度お礼を言おう。
今さらって思われるかもしれないけど、もう一度お礼を言って…あわよくば連絡先を渡したい。
そんな事を思うほど、私はいつの間にか彼に恋焦がれていた。